クリスマス
クリスマスはキリスト教国のフィンランドでは一番のイベントです。キリスト教がまだ伝来していなかった頃、フィンランドは12月末の冬至を収穫祭として祝いました。秋から日がだんだんと短くなり、冬至を迎えると今度は日がだんだんと長くなってくる、そんなお祭りがキリスト教が伝わるとクリスマスと一緒になりました。
フィンランドではクリスマスを「Joulu=ヨウル」とよびます。クリスマスはアドベント(キリスト待降節)の第1日曜日に始まります。子供達は日めくりのアドベント・カレンダーで、クリスマスを待つのです。
クリスマス前には、仕事仲間や友達で集まってちょっとしたパーティを開くのがフィンランドの習慣です。クリスマスのように、話に興じ食事を楽しむ集いは「Pikkujoulu=ピックヨウル(小さなクリスマス)」と呼ばれます。
アドベントの第1日曜日(クリスマスから4週間前の日曜日)が、クリスマスシーズンの正式な幕開けです。教会からはフォグラーの"ホザナ"の調べが繰り返し流されます。教会やコンサートホールでは、アドベントコンサートが開催されます。街にクリスマスのデコレーションが登場するのもこの時期です。クリスマス通りが光に彩られるのです。日が短い時期の光は街を美しく彩ります。
ルシア祭
12月13日は、聖ルシアの日。これは1920年代初頭にスウェーデンから広まった行事です。女の子は純白のドレスに身を包み、真紅のベルトを締め、ろうそくの冠を付けて両親にモーニングコーヒーを運びます。この衣装はシシリーの殉教の処女の伝説にちなむもので、純白のドレスは純潔、真紅のベルトは殉難、そして光輪のシンボルである冠は神聖を象徴します。ろうそくの冠は、こけももの若枝で飾られ、真紅のリボンで結ばれています。ルシアは、従者と侍女の役の兄弟姉妹を伴い、歌いながら歩きます。ルシア祭が北国の人々の間で祝われるのは、日が短い季節に現れる光の女王であるルシアが親しまれているからでしょう。
クリスマスの飾り付けとクリスマス・サウナ
アドベントの日曜日はクリスマスまでに4度。日曜日ごとに一本ずつろうそくをともすのが習慣です。クリスマスカードをだし、クリスマスのデコレーションを飾り、クリスマスのお菓子を作り、クリスマスの準備は着々と進んで行きます。
クリスマス・イブが、クリスマスツリーを森に探しに行く日です。家族そろって森にでかけ形のいいトウヒ(クーシ=Kuusi)をみつけると,お父さんが斧で切り倒し、家に運び家族そろって飾り付けを始めます。わらで作った「Himmeli=ヒンメリ」という幾何学的な形をしたモビールがクリスマス・ツリーで飾られるもの。わらが飾りに使われるのは、収穫祭の名残りでもあります。ツリーにはろうそくもともされ、頂上には星が飾られます。
サウナ発祥の地のフィンランドでは、サウナはクリスマスになくてはならないものです。クリスマスを前に、サウナの中で体を清めるのです。クリスマス・イブにフィンランドの田舎を旅すると、ほとんどすべてのサウナ小屋から煙が立ち上っているのを目にすることができるはずです。
クリスマス・イブ
クリスマス・イブには家族全員が集まります。成長して家庭を離れた子供たちも、クリスマスには家族といっしょに祝おうと両親の家に戻ってきます。12月24日の正午に、フィンランドの昔の首都であったトゥルクで「クリスマスの平和」が宣言され、中世の時代からの伝統にのっとって祝辞や挨拶が述べられます。これがクリスマスの正式な開始を告げるものです。クリスマスの宣言はクリスマスを静かに過ごすためのもので、宣言の後には店も閉まり交通機関もとまり、家族そろってクリスマスを祝うのです。
クリスマス・イブの日没が訪れると、家族は教会へと向かいます。教会のミサは5時ごろに行われます。ミサの後は墓地にいき、亡き愛する人の墓にろうそくを点します。クリスマス・イブには、フィンランドの墓地は息を飲むほど美しい光景となります。何千本ものろうそくの光が白い雪に映え、幻想的な世界を作り出すのです。
クリスマス
クリスマスは伝統的に、教会に行き静かに祈りを捧げる日となっています。教会でミサは早朝6時に始まりますが、たくさんの人が集まります。最近では、家庭でクリスマスをゆっくり過ごすことも多くなってきています。
クリスマスの終わり
クリスマスの翌日は、フィンランドでは聖ステパノの日(Tapaninpaiva)とよばれ、かつてはそり乗りに興じる日でした。静かに過ごしたクリスマスが終わり、親戚の家にそりにのって出かけた日でもあります。1週間たつと新年を迎えます。大晦日は少し神秘的な占いの日となります。サウナの火に溶かした錫を冷水のバケツの中に流し入れ、でき上がった金属の造形を壁に掛け、その影が醸し出す模様に翌年の前兆を見るのです。クリスマスは1月6日の公現節の夜で終わります。
クリスマスは、家族、特に子供たちを中心とするお祭りです。1年のうちで普段は忘れてしまいがちな、しかしとても大切な人々、先祖や伝統、それに地球の平和と人類のすべてに対する思いやりと愛の気持ちを思い起こす日でもあります。
著者:カイス・ヴォリオ(Kaisu Vuolio) ヘルシンキ大学教授
|
|
|